特殊温泉?「天草・下田温泉」の謎
調査依頼
先日、天草の下田温泉に宿泊したのですが、温泉街なのに湯煙が立っていませんでした。何か理由があるのでしょうか?
なるほど。言われてみると確かに天草の下田温泉には湯煙のイメージがないですね。気になったので調べてみました!
今回は下田温泉旅館組合のスタッフ、田中まき さんにお聞きしました。
さて、どんなお話が聞けるでしょうか・・・?
湯煙が立たない温泉街?
調:早速ですが、ユーザーさんから「湯煙が立たないのはなぜ?」という質問がありました。何か理由があるのでしょうか?
温:それは下田温泉の源泉の温度と立地環境に理由があります。
天草下田温泉の源泉の温度は約51℃で、源泉から各お宿に運ばれていく間に、人にとって丁度良い40℃~42℃程度になっていて、機械で沸かす必要がないからです。
また、海のそばで海風があり、標高も低く、温泉地の中では比較的温暖な気候のため、山奥の温泉のように湯煙が立ちにくい(雪が積もるほど気温が下がらない)環境というのもあると思います。
調:ということは、「雪が積もるほど寒くない」という事と、「モクモクと湯煙が立つ=温泉を沸かしている」から、沸かす必要がない下田では湯煙が立たないということなんですね。
温:一概には言えませんが、大型のボイラー等で大量の温泉を沸かすと、遠くから見えるほどの湯けむりが立ちます。逆に泉温が熱すぎる場合は冷やす必要があり、冷やす場合もやり方によっては湯煙が立ちますが、下田温泉の源泉はその必要がないのです。
「源泉かけ流し」という言葉をたまに耳にしますが、泉温が高温すぎる場合は、有名な草津温泉の「湯もみ」やその他の方法で冷ましたり、低温すぎる場合はボイラー等を利用したり、様々な方法で適温に調整されるそうです。しかし、機械を使用する場合などは特に、その過程で温泉の成分が変化したり、失われる(減少する)こともあるそうです。
天草下田温泉は適温かつ湯量も豊富なので、「沸かさず・薄めず・循環せず」という、本当の意味での「源泉かけ流し温泉」なので、源泉の成分を出来る限り落とすことなく皆様に提供されています。
調:なるほど。泉温が丁度よく、湯量も豊富なので、そのままかけ流し、という事ですね。
(※編集 注:当然ですが、そのままかけ流しと言っても、皆様が温泉に触れる前に各種菌類など、衛生面にはきちんと配慮された上で営業されています。)
天草下田温泉の謎
調:「源泉かけ流し」という事は、温泉の成分を出来る限り自然のままに体感できるという事ですね。ではその泉質はどのようなものなのですか?(※編集 注:詳しい泉質は一番最後にお伝えします。)
温:日本の温泉を分類すると、そのほとんどが「火山性温泉」と「非火山性温泉」に分類されますが、下田温泉はそのどちらでもない「特殊な温泉」というカテゴリに含まれます。
「謎の多い温泉」といわれており、以前の調査では活断層の摩擦熱で温度上昇した地下水が湧出しているのでは?と言われています。
調:調査してもハッキリしない謎の温泉という事ですか。それは気になるなぁ。
白鷺(しらさぎ)が見つけた温泉?
調:調査しても理由がハッキリ分からないような特殊な温泉に、どんなきっかけで気づいたんでしょうか?
温:実はこの下田温泉の第一発見者は一羽の白鷺だと言われています。(←第一発見鳥?笑)
「下田温泉センター白鷺館」には、下田温泉の由来が掲示されています。実際に見てみてましょう。
調:700年前!そんなに歴史ある温泉だったことに驚き、そして自然に湧出した温泉で、白鷺が傷を癒したことが発端だったとは…さらに驚きました。
温:そうでしょ?実は日本の昔話のような逸話が残されているんですよ。
(※編集 注:既に約750年程度経過しているとの説もあるそうです。)
調査を終えて
調:歴史や由来を知ると、より貴重な感じがして、謎深き温泉を湧出してくれる自然に感謝する気持ちになりました。今日はお時間を頂き有難う御座いました!
温:こちらこそ!皆さんも是非天草・下田温泉にお越しください!私も「下田温泉ふれあい館ぷらっと」でお待ちしています!
毎年12月~1月頃にはイルミネーションも開催されます。
【天草・下田温泉の泉質】
源泉名:下田温泉
源泉温度:51.3℃
知覚試験:無色透明、無味、無臭
飲用の適応症:ナトリウム炭酸水素塩・塩化物泉
効能:慢性消化器病、肝臓病、糖尿病、痛風
浴用の適応症:切り傷、やけど、神経痛、関節筋肉痛、慢性皮膚病、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、打ち身、くじき、慢性消化気炎、痔、冷え性、疲労回復、慢性消火器病、肝臓病、糖尿病、痛風
※上記内容は「下田温泉旅館組合」公式HPより抜粋