Report 006

ETCとは違う?「ETCX」ってなに?

疑問・質問
上天草市松島エリア, 有明エリア
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調査依頼

先日天草へ帰省した際、松島の料金所に「ETCX」と書かれていましたが、ETCは使えないと書いてあり、「?」となっている間に料金所を通過しないといけなかったので、よく分かりませんでした。(後略)

Tさん(※本名の場合はイニシャルとさせて頂きます。)

2023年3月に松島有料道路でも運用が開始されたETCX。

私は登録しているのでなんとなく分かりますが、まだまだご存じない方が多いようですので、ETCXの周知の為にも一度きちんと調査してみましょう!(天草在住者や帰省など、度々天草へ来る方には、お得になる情報もありますよ!)

今回の先生:山中 和彦 さん
(熊本県道路公社 総務課)

【そもそもETCって?】

ということで、今回は熊本県道路公社 松島道路管理事務所にお邪魔しました。

熊本県道路公社 総務課の山中さんにお話を伺います。

松島料金所の隣にある管理事務所(※車のナンバーなど一部加工しています)

以下、
「調」:調査隊1号
「道」:熊本県道路公社 山中さん

調:本日は宜しくお願い致します。

道:宜しくお願い致します。

調:今回の本題に入る前に、まずは従来のETCとはどういうものなのでしょうか?

道:はい、詳しくは公式ポータルサイトをご覧頂くと分かり易いかと思いますが、簡単にかいつまんで説明すると、

【ETC とは】-----------------------------------------

 ・Electronic Toll Collection system(=自動(電気式)料金支払いシステム)の略称。
 ・基本的に高速道路・一部有料道路の通行料金の支払いに特化したシステム。
 (※ETC車載機と料金所の電波のやり取りによって決済する。)
 ・現金の受け渡しの必要が無く、クレジットカードで瞬時に決済できるシステム。
 (※徐行で素通りが可能。渋滞の緩和に繋がる。)
 ・ETC限定企画割引などの割引制度もある。

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道:といったところがETCの主な特徴だと思います。

調:確かに一般的にも、なんとなくそういうイメージですね。

道:実はETCの運用開始から約20年経過し、現在では通行料金の支払いで94.4%(※国交省資料より 2023年6月時点)の方々がETCを利用されているようですので、多くの皆様に浸透してきているのではないかと思います。

料金所の手前にある「ETC利用不可」の立看板。ETCXのみ利用可能です。

【ETCとETCXの違いについて】

では本題へ。

調:ユーザー側の目線で見た場合、ETCとETCXの違いって主にどんなことがありますか?

道:まずはETCXの特徴について説明しますね。

【ETCXとは】-----------------------------------------

 ・ETCXは、ETCソリューションズ株式会社が提供する、ETCを利用した新しいキャッスレス決済サービスです。
 (ETCカードを色んな場所で使えるよう進化したもの。有料道路の通行料金以外にも、駐車料金、ガソリンスタンド、ドライブスルー、フェリーの運賃、EVスタンド、ごみ処理施設などを想定。)
  ⇒今後の普及度合いではとても便利なものに!

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道:次にETCとETCXの違いについてですが、重要な点もあるので、是非下記をご覧ください。

【ETCとETCXの違い】--------------------------------

 ・事前にETCカードとETC車載器(ETC2.0も利用可)が必要。
 (※現在利用されているものがあれば、それでOK
 ・ETCXを利用する場合は事前登録が必要。(※要メールアドレス
 (※インターネットでのお申し込みとなるため、スマホ or PC等のネット環境が必要)
 (※お申し込み方法は本記事下に記載しています。)
 ・ETCと違い、ETCXは必ず料金所で一旦停止が必要。

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道:簡単に言うと、従来のETCカードにETCXの機能を追加するイメージですね。
  なので、ETCXのみで機能するという事ではなく、従来のETCカード+ETCXの機能追加=今までご利用のETCカードは変わらず、従来のETCカード1枚で両方使える、というイメージです。

(筆者注:ちなみに先日、ETCカードは入れっぱなしでETCとETCXの両方を使う機会がありましたが、そのままでどちらも使えました。)

調:全く別という事ではなく、ベースはETCなんですね。
  でも同じETCなのに、必ず一旦停止が必要なのはどうしてですか?

道:従来のETCの導入には十億円規模の多額のコストが必要と言われているのですが、それをETCXでは出来るだけ簡素化し、導入コストを抑える事が出来ます。ETCXは遠隔地に設置したセキュリティ機能を有した情報処理機器と料金所の機器を通信ネットワークで接続し、決済処理を行う設備(ネットワーク型ETC)なので、処理に若干の時間を要するため、一旦停止が必要となります。

  当有料道路の供用開始当初(2002年)から、その1年前の2001年にスタートしたETCについて、皆様からの導入のご要望があったのですが、比較的導入コストを抑えて設置が可能な新しいETCが登場したので、補助金を活用しながら九州初・九州唯一(2023年9月現在)となる設置に踏み切る事になりました。

フェリーやコインパーキングなどでそのまま支払い出来たら凄く便利ですね!

【導入後の変化について】

調:ETCXの導入前後で変わった事って何かありますか?

道:まずは何といっても新型コロナウイルス感染症の対策に繋がっているという事です。これまでは手渡しで料金の収受を行っており、場合によっては通行者との会話を行う必要があったため、対策にとても苦慮していました。その点において、ETCXの導入により完全な非接触での対応が可能となり、職員やご利用の通行者への感染リスクの減少に大きな役割を果たしていると思います。

 また、松島料金所で販売している回数券などの購入時や、事前に料金をご準備頂いていない場合など、支払いに時間がかかるケースが発生した場合、料金所での車の渋滞に繋がりやすい事もあったのですが、こちらもETCXのご利用が増えれば徐々に緩和されていくものと期待しています。

 職員目線で言うと、釣銭を渡したりする回数は減ったものの、ETCXの新しい機械の操作・管理の面では慣れるまでのしばらくの間は迷惑をかける事もあったかと思います。

左ハンドル車でこんな事やってる人いますか?
ETCX使いましょう!(笑)

【「ばってん得割」について】

道:これまでは現金または回数券でのお支払いだったのですが、11回券の回数券は10枚分の料金で11回分の回数券を購入できるため、1回分お得だったんですね。そこで、ETCXでも同様のお得機能を追加できるようにしています。

調:お、回数券と同じように割引できるってことですか?!

【ばってん得割】

 ETCXの会員登録とは別に、松島有料道路の通行料金割引の登録をすれば、ETCXでの利用回数に応じて下記の割引が自動的に適用されます。

ちょっとわかりづらいので、下で簡単に説明しますね。

道:上の料金表で、11回、55回、93回の部分をご覧頂きたいのですが、基本的には「10回通行すると次の回は無料」となります。

 その「10回通行で1回無料」に加え、55回目の通行(支払回数が50回+各10回ごとの無料分を含めると55回目)になると、55回目~60回目の6回分が連続で無料になり、同様に通行回数が92回に達すると、93回目~100回目の8回分がさらに連続で無料になります。

【いったん整理】 -----------------------------------

 1)通行料金の支払いが10回ごとに次の回が無料に!
 2)通行回数が合計54回になると、次の回(55回目)から6回連続で無料に!
 3)通行回数が合計92回になると、次の回から(93回目)8回連続で無料に!
 4)100回を超えたら最初の1)に戻って繰り返し
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道:要するに、これまでの回数券(11枚綴り、60枚綴り、100枚綴り)と同様、もしくは更にお得になります。

調:これまで「お得だから」と、従来の回数券を使ってきた方にとってもETCXを使えばもっと便利でお得ですね!
  天草では天草市役所の売店(組合事務所)と松島料金所でしか販売が無かった回数券。天草市役所の場合は平日に買いに行かないといけなかったので、わざわざ買いに行かなくても自動で同等もしくはそれ以上の割引が受けられるんですね!

道:はい。上にも書いていますが、ETCXの登録とは別に、こちらの事前登録も必要になりますのでご注意ください。

調:では続いてETCX・ばってん得割の登録方法をお聞きします。

【ETCX・ばってん得割の登録方法】

1)ETCカード・車載器の準備

 ①ETCカード・車載器を持っている
  ⇒2)へ
 ②ETCカード・車載器を持っていない
 ・ETCカード:クレジットカード会社に問い合わせ、ETCカードを発行してもらう
 ・車載器:カー用品店、ディーラーなどで購入・設置後、2)へ

2)ETCX公式サイトで申請

  ETCX公式サイト:https://etcx.jp/
  ⇒ETCカードをお手元にご用意の上、上記リンク先より
   画面右上の「会員登録」から画面の指示通りにお進みください。
  ※登録の際は下記の情報が必要となります。
  ・住所、氏名、生年月日、電話番号、メールアドレス
  ・ETCカード発行元のクレジットカード番号とその有効期限
  ・クレジットカードに付帯する ETC カード番号とその有効期限

3)ばってん得割の申請

 ETCX ばってん得割 登録サイト:https://kumadou.etcx.jp/
 ばってん得割のご登録は上記リンク先から。

4)利用開始!

 実際に松島料金所を通ってみましょう!(※一旦停止を忘れずに!)

松島料金所を撮影している間にも、ETCXを利用する車両が何台も通っていきました。
※先頭の白い軽自動車が止まっている辺りで一旦停止して下さいね。

【その他(注意事項など)】

・料金所ではバック・旋回しない

 実は案外起こりうることなのですが、レーンを間違えた(と思って)慌ててバックして隣のレーンに移動しようとされる方がいらっしゃいます。料金所付近でのバック、急旋回などは事故を誘発し、大変危険です。係員が参りますので、間違えたと思っても冷静に直進の状態のまま、必ずその場でお待ちください

・牽引車両・特殊車両について

 例えば、軽自動車でETCXをご利用になる場合は150円の通行料金を徴収するのですが、もし軽自動車でけん引をされている場合は普通車料金(200円)となります。
 その他、似たような状況においてETCXで支払おうとすると差額が発生する場合があるため、その場合は係員が対応したうえ、ETCX決済を行います。

 ※その他の特殊車両など、ご不明な場合は、「こういう場合はどうなるのか?」と事前にお電話(TEL 0969-28-3331)にてご連絡頂けましたら、当日はスムーズにご利用頂けるかと思います。

・障害者割引について

 当有料道路の通行料金については、障害者割引の制度があります。割引後の通行料金は普通車が100円、軽自動車が80円となりますが、下記の※印にあるように、ETCXご利用の際も各種手帳のご提示が必要です。(※手帳をご提示頂き、確認の上、ETCX決済処理を行います。)

 ※有料道路を御利用の際は、身体障害者手帳又は療育手帳の御提示をお願いします。
 ※割引に必要な記載事項を確認したうえで割引適用致します。
 ※割引制度の適用についての条件、手続き等の詳細は、市町村役場、松島道路管理事務所へお問い合わせ下さい。
 ※障害者手帳アプリ(ミライロID)の御提示も可能です。
 ※編集注)今回は熊本県道路公社様との申し合わせの上、法令等の表記に合わせ「障碍者」ではなく「障害者」と表記しております。予めご了承下さい。

・提携クレジットカード会社について

 クレジットカード会社によってはご利用頂けないケースが御座います。下記のリンク先からご利用頂けるクレジットカードを予めお調べ頂いてからご登録をお願い致します。

 ※利用可能なクレジットカード一覧(個人向けの場合)
  https://etcx.jp/cardlist/

【参考】現在利用可能なクレジットカード会社の一覧 (2023年9月時点)
今後も増えていく予定だそうです。

・ETCXで決済が出来ない場合について

 稀に機器の作動不全によりETCX決裁が出来ない事がありますので、念のため現金をご用意頂くと安心です。

・ETCコーポレートカード(法人・個人事業主用)について

 高速道路会社各社が発行するETCコーポレートカードでは、ETCXの会員登録時に「オリコB2Bサポートプラン」を併せてお申込み頂くことでご登録が可能となります。

 ※ETCX会員登録サイトでは、通常のETCカードではなくコーポレートカードを選択してください。

・軽自動車等(二輪車等含む)の通行について

 軽自動車などの小型車両や、二輪車などの場合は、稀にETCXが反応しづらい場合があります。また、普通車両以上の大きな車両の場合にもETCのアンテナの設置位置次第では同様に反応しづらい場合があります。

 対策として、出来る限り料金所のブース寄りにご通行頂けると反応しやすくなるかと思います。二輪車の場合は複数台で横並びで並行進入せず、1台ずつ順番にご通行ください。

ツーリングでお越しの方々は横並びにならず、一台ずつ料金所へお願いします。

【最後に一言】

 調:最後に皆様に何かお伝えしたい事などはありますか?

 道:道路公社としては日本で3番目、前述の通り2023年3月に始まって、九州全体でも導入事例はこの松島有料道路のみという、まだまだ出来たばかりの新しいサービスですので、認知度も高くなく、全国的に見ても現時点でお使い頂ける箇所は少ないですが、今後ETCのように普及してくると大変便利なものになると思います。

 松島有料道路としても、試験的に深夜0:00~早朝5:30の時間帯でETCX専用レーンを設けてみるなど、これまでも試行錯誤をしながら、どのように運用したら皆様にとって便利なものになるか模索中ですので、この機会に是非ETCXにご登録頂き、便利でお得なサービスを一人でも多くの皆様にご活用頂けましたら幸いです。

 松島有料道路(有料区間)・松島有明道路(上津浦IC~米の山IC間の無料区間)をご利用頂き、便利でお得で快適な天草の旅をお過ごし頂きたいと思います。

調:本日は有難う御座いました!

道:有難う御座いました。

【協力】

 熊本県道路公社
 https://www.kumadou.or.jp/

【出典・参考・引用】

 一般財団法人 ITSサービス高度化機構(ETC総合情報ポータルサイト)
 https://www.go-etc.jp/index.html
 ETCソリューションズ株式会社(ETCX公式サイト)
 https://etcx.jp/

【イラスト】

 いらすとや
 https://www.irasutoya.com/

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